女性のための金融セミナー 知っておきたい金融の基礎知識 第3回

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皆さん、こんにちは!株式会社WealthLead(ウェルスリード)の濵島です。第3回目の今回は「為替」についてのお話です。
TVで「今日午後5時現在の外国為替相場は、1ドル110円近辺で取引されています」というようなニュースをご覧になった事があると思います。為替相場というのは通貨と通貨の交換レート(例えば米ドルと日本円の交換レート)のことであり、長期的には2国間の物価上昇率の差、中期的には貿易収支や金利の差、短期的には各種経済指標や政府要人の発言等で動きます。

①長期的要因

「インフレ率が高い国の通貨は安くなり、よりインフレ率が低い国、あるいはデフレの国の通貨は高くなる」関係が成り立ちます。次の例でご説明します
 今、あるボールペンが米国では1本1ドルで販売されているとします。同じ商品が日本では1本100円で販売されている時、1ドルと100円は同じ価値ですので、交換レートは1ドル=100円ですね。その後10年経って米国ではインフレにより物価が上昇し、ボールペン1本1.1ドルになったとします。日本ではデフレにより物価が下がり1本90円で買えるようになったとすると、1.1ドル=ボールペン1本=90円ですから、ドルと円の交換レートは90円÷1.1ドルで、1ドル=約81.81円となります。1ドル交換するのに100円必要だったのが、約81円で交換できるようになったのだから、「円高」になったのです。

②中期的要因

貿易収支が影響します。例えば、日本の自動車メーカーが米国へ自動車を輸出すると、輸出代金は米ドルで受け取りますが、日本の会社は受け取った米ドルを円に替えます。この時、米ドルを売って日本円を買う取引が発生します。つまり、輸出はドル売り円買い(ドル安円高)要因となります。一方、例えば食品会社が牛肉を米国から輸入する時は、手持ちの日本円を売って米ドルに替えて輸入代金を支払います。つまり、輸入はドル買い円売り(ドル高円安)要因となります。この輸出と輸入のバランスが為替相場に影響します。
 また、金利の差にも影響されます。お金はより多く利息がもらえる方に動いていきます。コストや様々な要素を考慮しても米ドルの方がより稼げるとなれば、日本円を米ドルに替える動きが強くなりますし、そうでなければ逆の動きになります。

③短期的要因

様々な要因、例えば、各種経済指標の発表や政府要人の発言、戦争や大きな災害等によっても刻一刻と動いています。
それでは、日本から海外資産に投資した場合、どうなるか見てみましょう。
例えば、米国のスターバックスの株式に投資したとしましょう。株価は現在65ドル前後ですので、仮に10株購入すると、株価65ドル×10株×為替109円=70,850円の投資となります。1年後、株価は変わらなかったとしても、為替が1ドル=100円になっていたら、株価65ドル×10株×為替100円=65,000円となり、日本円に換算したら損をしてしまいます。逆に1年後1ドル=120円だと、株価65ドル×10株×為替120円=78,000円となり、利益が出ます。つまり、日本から海外の資産に投資する場合は、円高=円換算後の資産は減る、円安=円換算後の資産は増えると覚えておいてください。
では、為替のリスクがあるから海外への投資はしない方がよいのでしょうか。私は、海外への投資も一定程度した方が良いと思います。海外には有望な投資先がありますし、資産価値を守るためにも必要と考えます。
私たちの周りには、海外からの輸入品がたくさんあります。例えばガソリン(石油)などのエネルギーはほとんど、大豆や小麦等、食料品は6割以上を輸入に頼っています。また、洋服や医薬品なども輸入品が多いです。為替が円安になると輸入品は値上がりします。また、インフレ率が上昇してくると円の価値が下がり、長期的には円安になります。日本円でしか資産を持っていないと、それだけ購買力が下がる事になります。資産の一部でも海外の資産を持っていれば円換算での資産は増えますので、為替が円安になって輸入品が値上がりしてもある程度は相殺できますよね。
セミナー開催前のコラムは今回で終了です。それでは25日、セミナー会場でお会いしましょう!

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