学生向け金融セミナー 知っておきたい金融の基礎知識 第1回
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皆様、初めまして。一年間このコラムを担当させていただく、株式会社WealthLead(ウェルスリード)代表の濵島です。来年3月まで金融や投資に関する話題を取り上げていきたいと思います。
まずは自己紹介です。私は、1988年、当時の新日本証券(現みずほ証券)に入社しました。富裕層個人と中小・公益法人の資産運用や中堅企業のRM (Relationship Management)、4ヵ店の支店長も含め、30年間の証券マン経験を基に、2018年3月金融コンサルティング会社を創業しました。
若い頃からいずれ起業したいという思いはあったものの、真剣に考え始めたのは2011年の東日本大震災がきっかけです。それまでの人生観が一変し、やっておけば良かったという後悔はしたくない、理想を追求したい、夢を実現したいと強く思うようになりました。
そして2017年末みずほ証券を退社、「投資で人と社会を豊かに」をミッションに、「真にお客さまのお役に立つ金融サービス」を提供し、「誇りと愛着、日本一!」の会社を目指して日々邁進しています。
さて今回は、2018年に発表された「世帯数の将来推計」を読んで思ったことをお話します。
国立社会保障・人口問題研究所によると、日本全国の世帯数は、2015年時点の5,333万世帯から2040年には5,076万世帯に減少し、75歳以上の世帯が1,217万世帯と全体の4分の1を占めるそうです。また、一人暮らしの人は1,994万人と全体の約4割を占め、その中で高齢の一人暮らしの人は512万人もいるとのこと。令和は「超高齢化」と「個家族化」が同時並行で進行する時代ということです。
このことは社会インフラと国民生活に影響を与えます。一定の世帯人数や世帯数を前提にしてきたインフラは非効率となり、生活コストが上昇する可能性があります。例えば、水道やガス、電気料金といった公共料金は一人暮らし世帯では割高になるようです。世帯数が22%も減少する都道府県もあり、公共サービスの全国一律の維持は困難になると考えられます。
ビジネスも変化への対応が必須となります。スーパーやコンビニでも「個食化」に対応した品ぞろえが必要でしょうし、サービス付き高齢者向け住宅や宅配、家事代行サービス等、単身者向け、高齢者向けビジネスは拡大、多様化するでしょう。
また、「介護」が社会的な課題となってきます。親や家族の介護が必要になったとき、働きながら家族だけで支えるのは困難、ましておひとりさまの場合はなおさらでしょう。となると、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、訪問介護の需要が今以上に高まるでしょうし、医療や介護にかかわる人材がより必要になってきます。働き方も多様化し、在宅勤務やワークシェアなど、企業側も社会の変化に伴った柔軟な働き方を用意できないと人材の確保もままならなくなるでしょう。
こうした大きな変化をビジネスの視点で捉えてみることをおススメします。就職活動時の業界研究や会社研究の参考になると思いますし、ソーシャルビジネス(社会的課題の解決を目的とするビジネス)で起業するのも素晴らしいと思います。
また、できれば早いうちから資産形成に取り組まれることをおススメします。働いて得る給料からは「社会保険料」が引かれます。社会保険料とは、主に健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料から成り立っていて、給料の約15%が引かれます。(会社も約15%負担しますので、実際は労使合わせて約30%となります)。
厚生年金保険料というのは、公的年金を受給している人達の給付金を現役の働き手が負担しているお金です。2004年当時は労使合わせて約13.5%の負担でしたが、現在は労使合計18.3%となっています。介護保険は、介護が必要になった時に費用を給付してくれる保険で、40歳以上になると保険料の支払いが義務付けられます。
下図は内閣府が発表している平成30年(2018年)版高齢社会白書からの抜粋ですが、ご覧の通り現役の働き手が減って高齢者が増えるので、社会保険料は今後も増える可能性が高いと思います。また、皆さんが高齢者になった時には現役世代はさらに減少しているので、貰える公的年金にあまり多くは期待できません。
このように負担は増える一方です。また、家族の介護で休職を余儀なくされたり、かなりの出費を強いられることもあるかもしれません。早いうちから資産形成に取り組み、資産を積み上げておく必要があるのではないでしょうか。
それではまた次回!